first encounter



悪夢に魘され目が覚めた

月明かりだけが差し込む見知らぬ天井に手を伸ばして―



「はぁ・・・・・・っ・・・」



まるで全速力で走った時のように呼吸がうまくできない

口の奥は乾いていて、夢のせいなのか身体はじっとりと汗をかいていた



暗くてよく見えないこの場所で目こらして辺りを見回すとカチャリと音が鳴る

息をするのを忘れるほどその方向に集中すると
闇に慣れ始めた目に光が当たり一瞬何も見えなくなった



「お目覚めかい・・・眠り姫」


ベッドの上で身構えてみるが、対抗する武器を持ち得ない事に気付き素直に降伏する


「・・・・・ここは、どこ?」

「抵抗する気が無いなら答えるが」

逆光で話している相手の顔が良く見えなくて苛々する


「ないわ。だから教えて」

「飛空艇シュトラール」

「―飛空・・・艇・・つまり、空賊って事かしら」

「ご明察」

「これからどうなるの?何処に行くの?・・・・どうして私は、、、ここにいるの」

「覚えてないのか?あんた」

「知っていたら聞かないわ。それに何だか頭がハッキリしない」

「怪我は無いようだったがどこか痛むか?」

「いいえ、大丈夫。それよりアナタは誰?明りのせいで顔も見えない」

ベットから出ようとする私を言葉で静止させ壁際にあったライトから
ゆっくりと オレンジ色の淡い光が部屋を明るく照らし出す


「俺の名はバルフレア。あんたは?」

よ。・・・ねぇ聞いてもいい」

「何だ」

「貴方が助けてくれたのね、私の事」

「覚えてるのか?」

「いいえ。何となくそう思ったから」

直感的ではなく本当にただ何となく
もしかしたら意識を失くす前に彼の声を聞いていたのかもしれない

いずれにせよ今こうしていられるのは彼のお陰なのだから
きちんと感謝の気持ちを言葉にしたかった

「ありがとう、バルフレア」

「―。。。。。。」

「??お礼を言ったつもりっだたのだけど」

「ん、、、ああ。別に」

「何?」

「何でもない。病み上がりなんだからもう寝ろ」

「そうね・・・・でもあの方達にも挨拶してから」

が向いた方向を見るとドアの隙間から影が動くのが見えた


「おい、お前ら」

ゆっくり近づきドアを力強く引けば
倒れこむように入ってくる二人

「っうあ!偶然だなーバルフレア。俺達丁度通りかかったから」

「ごめんなさい、ヴァンが大丈夫だって言うから」

そう口にするヴァンとパンネロ
それがキッカケで結局皆と挨拶を交わした。






自分がどうしてここに居るか思い出せない。
ただ何かから逃れてきた恐怖だけは残っていた。

私の目の前に世界が広がっている。



そう私は今初めて自由を垣間見たような気がした。
自由である不安と喜び、その両方が心の中で犇めき合った―